Ser.4-3 「言われたほうがマシ」という暗示の魔法

〜テーマ:誤解されやすい人(最終回)〜

「誤解されやすい人」をテーマにお届けしてきたこのシリーズも、今回で最終回となりました。

医学的知識もスキルも高く、次期主任候補と期待されていた青田さん。患者さんのために一生懸命説明するあまり「他の看護師を呼んで!」と言われてしまった彼女ですが、自分の話し方にあった「威圧感」という本当の問題に気づき、前を向く覚悟を決めました。

自分の言動が招いた結果だと気づけないままだと、「私を嫌っている」と相手を責め、関係をこじらせる悪循環に陥ることもあります。しかし、青田さんは相手のせいにしませんでした。看護師としての成長を選び、不器用ながら歩みを始めたのです。

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気づく「きっかけ」を自ら作る

「私、話すときに表情や態度が無頓着になっているんですね。『威圧感がある』と言われてハッとしました。その瞬間に指摘してもらえたら、自分でも気づけると思うのですが……」

青田さんは、自分でできそうな工夫を口にしました。

「その場で言ってほしい、ということですね。でも、私が『威圧的だ』とお伝えしたとき、嫌な気持ちになりませんでしたか? 私はこれでも、かなり勇気を振り絞ったんですよ(笑)」

少しユーモアを交えて、私の本音を伝えてみました。

「ははは! 確かにいい気分ではなかったです。でも、変わりたくてここに来たから『えいっ!』と受け止められました。それに、裏で陰口を言われるよりずっとマシです。嫌な気分はしても、ちゃんと言ってもらって癖を直したいんです」

「素晴らしい覚悟ですね。でも……周りはそう簡単に言ってくれません。だって、今の青田さんは『怖い人』と思われているんですから(苦笑)」

「あはは、確かに!……誰なら素直に聞けるかな。師長さんか、同期なら言ってくれるかも。ダメもとでお願いしてみようかな」

「なるほど! 自分がお願いした相手なら、心の準備もできますね。そうでない人にいきなり言われたら、反発して悪循環に陥ることもあります。私ならそうなっちゃいます(笑)」

「あかりさんもですか! よし、まずはやってみます」

「青田さんの覚悟、受け止めました。……じゃあ、私からもお願いです。私が失礼なことを言ったら、遠慮なく教えてくださいね!」

「了解しました! ははは!」

「この人の言葉なら」と思える人を、あらかじめ探す

自分の癖を直したいと思っていても、いざ指摘されると「この人には言われたくない!」と反発してしまうのが、人間の複雑な心理です。

そこで青田さんが試みたのは、「この人の言うことなら素直に聞ける」という人に、先回りしてお願いしておくことでした。

「嫌な思いをさせていたら、その場ですぐに教えてほしい」

自分が頼んだ相手だからこそ素直に耳を傾けられますし、頼まれた側も「役割」として伝えやすくなります。

さらに青田さんは、周囲に「言ったら不機嫌になるかも」と思わせない工夫も始めました。指摘を受けたら「気づけてよかった、ありがとう」と伝え、タイミングを見て「さっきの私の話し方、どう感じました?」と自分からフィードバックをもらいにいったのです。

これは簡単にできることではありません。私もその勇気を見習いたいと感じました。

さらに青田さんは、その勇気を湧き出させる“魔法”を教えてくれました。心の中で「言われないより、言われたほうがマシ!」とおまじないを唱えていたそうです。普段から自分にポジティブな暗示をかけていたのですね。

そのような青田さんの変化によって、周囲の印象は劇的に変わっていきました。「この人なら伝えても大丈夫」 「お腹の中に溜め込んでいる方が失礼かも」

そう思ってもらえる信頼関係が育つにつれ、「陰で何か言われているのではないか」という青田さん自身の余計な警戒心も消えていきました。

私も相手に指摘されたことで落ち込んだとき、青田さんに教えてもらったおまじないを唱えようと思います。

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