〜テーマ:職場環境の変化を乗り切るために(最終回)〜
前回の記事(Ser. 5-3)では、新人を指導する先輩看護師たちの葛藤に焦点を当てました。「後輩の反応が見えずイライラしてしまう」という戸惑いの奥にある本音や、お互いの緊張と推測が生み出す「相互理解の不足という悪循環」についてお伝えしました。
シリーズ最終回となる今回は、新人と先輩の双方の葛藤を踏まえ、ギクシャクした関係の糸を少しずつ解きほぐしていくための工夫について考えてみたいと思います。新人が新しい環境に馴染み、業務を覚えていくプロセスは、先輩たちの根気強い指導に支えられています。
けれど、先輩たちも生身の人間です。「教えてあげたい」「応援してあげたい」という気持ちが、いつも変わらず湧き出てくるとは限りません。時にはその気力が途切れてしまうことだって、あって自然なことのように思えます。
「教えてあげたい」
紺野さんのケースを振り返ると、先輩たちに「教えてあげたい」という思いを持ち続けてもらうためには、教わる側(新人側)のちょっとした表現の工夫も、一つの大切な鍵になるのかもしれません。
それはたとえば、「感謝や反省の気持ちを持っている時は、できる範囲で言葉や態度で伝えてみること」です。
前回の記事の中で黒木さんと白石さんが話していたように、後輩からそうした気持ちが感じ取れないと、先輩側も「本当に届いているのかな」と不安になり、関わるエネルギーが薄れてしまうことがあるようです。
日常の挨拶がもたらすもの
以前、私自身が体調を崩して入院したときのことです。
担当してくださったある1年目の看護師さんは、まだ業務に慣れておらず、技術的にもどこか頼りなさが残っていました。けれど、一生懸命に患者である私に向き合おうとしてくれる気持ちがこちらにも伝わり、特に初々しく元気な挨拶からは、とても大きな元気をいただいていました。純粋で真っ直ぐな声は、その場の空気を柔らかくしてくれているようにも感じました。もしかするとそれは、1年目の方だからこそ持っている特別な力なのかもしれません。
「今の自分にできること」に目を向ける
床に落ちているゴミを拾う、物品の整理整頓をするなど、専門的な看護業務に限る必要はないと思います。「今の自分にできること」を見つけて静かに動いてみる。それは周囲の助けになるだけでなく、「自分もここに貢献できている」という、自分自身を支える小さな感覚につながることもあります。
先輩側からも、小さなきっかけを
また、先輩の立場からも、後輩が「小さな自信や安心感」を持てるようなきっかけを作れると良さそうです。
パソコンの簡単な入力や、季節の飾り付けといったちょっとした役割を頼んでみる。そうした小さな任されごとを通して、新人は「ここに居ていいんだ」と感じられ、自分のペースを取り戻すきっかけになった例も見てきました。
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お互いに「小さな自己表現」や「小さな関わりの工夫」を重ねていくこと。そうした些細な試みの積み重ねによって、一度は固くなってしまった関係の糸も、少しずつ解けていくのではないでしょうか。

